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Channel: ふくしまの戦争資料室
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歩兵第二百十四連隊「白虎部隊」部隊章について

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歩兵第ニ百十四連隊
浜田準之助中佐(のち大佐、二代目連隊長)の発案とされる。
昭和14年3月、当連隊は若松歩兵第二十九連隊留守隊において編成された。
この編成間近の頃、予備士官学校の教育を修了して原隊に復帰した阿部知幸見習士官(当時)は、連隊本部附の某中尉殿に「見習士官は東京の高等師範出で、絵を描くそうだな。略帽の星章の上につけるんだが、部隊のマークを『虎』でつくってくれ。急ぐんだ。」とのこと。参考にと渡されたのは若松市内か東山温泉辺りの土産物と思われる日本画風の虎の絵を描いた布。「金属板で、まる型のもの」と指定され、阿妻見士は天空に吠える頭部のマークを考え、金属で、ということで七宝製と決め、白虎の意図がわかったので(白虎隊にちなんで、と説明があったものと推察)輪郭は七宝の地金をいかし虎は白とした。また、白虎をいかすため周囲は紺青(ウルトラマリン)と指定し、ニ時間程度で完成させた。
部隊の出発は四月三日。それまでに何千個かのマークができ、一人一人に配られ、略帽の星章の上に縫い付けられた。という。また阿部見士は「白虎のマークを部隊の標章と決定された連隊上層部のアイデアを素晴らしいものと思い、今なお、敬意とともに高く評価している。そして、このマークをつけた帰らぬ戦友の多いことを思い、なき戦友の冥福を祈る気持が、私なりにひとしお深いのである。」と回想していいる。以上連隊史「白虎マークの思い出」より。

歩兵第二百十四連隊史より


この度完成した再現品(この時点では研磨及びメッキの加工をしていない)
















部隊章製作顛末
この部隊章製作にあたっては、以下の2業者様の御協力があり完成したものです。
G-IRON  SILVER WORKS  埼玉県加須市
金魚七宝店 神奈川県川崎市

※  ※  ※
1 構想
構想は既に中学生の頃手にした「若松聯隊写真集」と「ビルマ戦線と風俗漫画集 会津若松 白虎部隊」(慰霊碑にある部隊章デザインが掲載されていた)を見て、いつかは・・・という気持ちがあった。徽章製作会社ロット数がないと単価にして五万円前後という恐ろしい金額であり、諦めていた。まだこの時点では、慰霊碑の部隊章は正確ではないことを知らなかった。

2 聯隊史の入手と詳細な写真との出会い
聯隊史を偶然入手した。「3000円程度なら」と、たまたま買ってみた。
内容を見ると、部隊章の詳細な図案が掲載されている(それでも2センチ未満だった)
しばらく実家に放置し、仙台方面に出張の折、帰省して久しぶりに読んでみる。すると、前掲の「白虎マークの思い出」の記事を発見する。また、これと同時期に自衛隊駐屯地の資料館で詳細な写真を確認することなり、製作可能か調べ始める。

3 徽章店はダメ、彫金は?エッチングは?
大体1円玉程度の大きさと決め、業者に問い合わせ始める。
最初は彫金屋。「ここまで細かいのは無理。サイズは大きくできないのか」ということで×。エッチングは七宝向きではないということで×

4 業者との出会い
方々問い合わせしているうちに、自分のシルバーのペンダントを見て、個人向けシルバーアクセサリー業者に問い合わせる。その業者に、再現で正確に作るなら、ロストワックス製法というのがある。3Dプリンターによって蝋で原型を作り、これを鋳造の型にするということで、G-IRON SILVER WORKS 様をご紹介いただいた。

同時期に、七宝屋の意見を聞かないと地金製作の依頼ができないと思い川崎の「金魚七宝店」に問い合わせる。
地金の指定事項として材質は純銀(シルバー925などは割れる可能性あり)で、発色や加工性も考慮して厚さ1.6ミリ、彫の深さ0.6ミリとした。七宝絵具については現在製造していない、発色の良いものとのこと。
両業者様には、こちらの熱意を汲んでいただき、大変丁寧かつ詳細に至るまで調整していただいた。(G-IRON SILVER WORKS様は、手彫りで特に「垂直彫り」は得意との事。)

●製作の流れ
図面製作とサイズの指定~ワックス原型製作~鋳造~修正~研磨~七宝店へ発送~七宝店側からの地金修正依頼~地金製作側に修正依頼~七宝店へ発送~色入れ(白)~色入れ(青)~研磨~メッキ(ニッケル)


※純銀製品は、傷つきやすいため通常はメッキで保護する。装飾品にはアレルギー性は少なく、皮膜強固なロジウムメッキを使用する。ニッケルメッキは安物の加工をするためのもの(我々の日用品には多く取り入れられている)で銀の価値を下げることになる、とのこと。しかし、ロジウムメッキにはリスクが伴うためどこの業者でも断られた。元々が装飾品ではないし、地金は多分銅に銀メッキを施したものであると考えるため、ニッケルメッキでお願いすることにした。
メッキ完了し、手元にとどいたのがこちら。


皆様、有り難うございました。白虎の部隊章と共に、214連隊他、若松編成部隊の歴史を探求し続けていきます。




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