「特攻隊の真実」テレビ番組、出版物、動画、色々な場面でこの言葉に遭遇するが、売り文句のために真実の大安売りをするのはやめて頂きたい。特攻隊に限らず人の体験の数だけそれぞれに「真実」があるもので、現代の我々が「1週間前に言ったよ」「いやいや聞いてないから」と言って仕事で揉めたりするように人の記憶は曖昧なものと思うし、自分の都合で変わる場合もある。戦争体験でも同じ部隊内で記憶が異なるのはザラにある話。個人がその環境で体験した記憶で完結すれば良いものを、陸海軍の別も時期も全く考慮されない、特攻全体の事実として大きく扱ってしまう。結果、それほど興味のない視聴者にも変な先入観を植え付けてしまう。それほど興味のない人の中でもそれを自分の右や左の主張に重ねて利用しようとする人もいて、都合の良い解釈でSNSで発信していく。『特攻隊とヒロポン』や『振武寮』の記事など、ネット上で都合よく好き勝手に書かれすぎて検証などあったものではない。もっともそれを利用する側は記事の内容が自分に合っていれば事実関係など知ったこっちゃないわけだ。
これだから「真実」という言葉が嫌なのだ。